移住者インタビュー
三浦市南下浦町・加形拓也さん

こんにちは。今回の移住者インタビューも、前回と引き続き学生スタッフの鈴木がお送りします。

春に新生活を始めた皆さんは、ちょうど落ち着いてきた頃でしょうか?

「引っ越し」と「移住」。

拠点を変えるということは同じなのに、そのニュアンスにはどこか異なるものを感じます。引っ越しは進学や就職、異動に伴うときに使われるように思いますが、では移住ってどんな意味を含むのでしょう。この記事を通して「移住」について考えられたらなと思います!

今回インタビューしたのは、三浦市南下浦町在住の加形拓也(かがた たくや)さん

千葉県出身の加形さんは、都内のコンサルティング会社に勤務し、国内外様々なクライアントの商品開発・マーケティングサポートプロジェクトを担当されています。

ほかにも自治体顧問やNPO代表として、非営利団体やまちづくりなどの分野にマーケティングの考え方を適用する仕事にも取り組まれています。

東京で暮らしていた加形さん一家は、三浦市主催の「トライアルステイ事業」でのお試し居住、家族での世界旅行を経て、2017年8月に二拠点生活を始めました。

相撲仲間と日本ビーチ相撲協会を設立し、三浦海岸でもビーチ相撲イベントを開催したり。最近は三浦海岸のカレー屋サポートを行っていたり、、、?

多岐にわたる活動をされている加形さんがどのように三浦と接点を持ち、現在の愉快な暮らしをすることになったのか。早速お話を伺っていきましょう~!

”豊かな暮らしをもとめて”


鈴木

加形さんは現在東京と三浦での二拠点生活をされているとお聞きしました。

加形さん

そうなんです。僕は千葉出身で、大学から東京にでてきてずっと住んでます。妻も僕もそこそこの田舎育ちだから。東京は便利なんだけど。ずっとそこで暮らすのか?感がずっとあって。それで、4年半前くらいから色々な地域の物件を探してたんです。

鈴木

コロナ前だったんですね。より自分たちに合ったライフスタイルを見つけたいと思って地域に目を向けたきっかけは、そもそもどこからだったんでしょうか?

加形さん

ふだん商品開発の仕事をしていて。それで、東日本大震災以降に各地で地域独自の魅力を活かした観光を育てていこう、という機運が生じたタイミングで、商品開発のスキルを活かして地域の観光を考える仕事が増えたんです。それまでは、海外で暮らそうかななんてことも思ってたんだけど、日本の地域にも豊かな暮らしがあるなって、仕事を通してたくさん知ったんですよね。で、三浦が世界で一番いいまちだなって思ったので、住み始めました。

鈴木

世界で一番って言いきれるのってすごいです!断言できるまでにはどのようなことがあったんでしょうか。

加形さん

家族で、どういう暮らしをこれからしていこうかを考えていく中で、視野を広げるために、世界旅行に行ったんです。2人目の子供が生まれたタイミングで仕事を数カ月休んで、ベビーカーを押しながら世界を飛び回りました。

鈴木

映画みたいなことをしてらっしゃる(笑)

加形さん

民泊や友達の家に泊めてもらって、あちこちを旅する中で、暮らし・生き方についての軸が奥さんとできてきて。親の介護のこととかもあるから、関東圏にはいたかったんだけど、今まで二拠点生活の決断がなかなかできなかった。お金持ちになったら…もう少し年齢を重ねたら…なんてリスクに怯えてたんです。でも海外に行って、おじちゃんとかが「最近仕事クビになっちゃって、友達の仕事手伝ってるんだよねー」とか普通のテンションで言っているの聞いたらさ(笑)ああ、このくらいの心構えでいいよな、自分たちが好きなように生きたらいいよなって思えたんですよね。

鈴木

吹っ切れたという感じですね。加形さんは、世界旅行前に三浦市が主催していた「トライアルステイ事業」に参加されたんですよね。その時に感じた三浦の良さってどんなところだったんでしょうか。

”三浦は日本のサン・セバスチャンになるって確信があった”


加形さん

三浦市のトライアルステイ事業の初年度に参加したんですけれど、そのおかげで三浦のことを知れたし、ますます好きになれました。まずアクセス面においては、京急は最強で台風でもめったに運休しない(笑)東京からの最短距離で一気に自然豊かな三浦まで行くことができます。ローカルな漁港もあって野菜も美味しい。スペインのバスク地方にサン・セバスチャンというグルメな港町があって、人々が食を中心にした暮らしを満喫してるのですが、僕は三浦は日本のサン・セバスチャンみたいだな、と思ったんです。

鈴木

日本のサン・セバスチャン…三浦をそのように表現された方、他にいなかったと思います!かっこいい!

加形さん

三浦はマグロの遠洋が盛んで、全国から人が集まってきて超好景気の時代もあったそうなんですよね。一度天下をとった町ならではで、粋なお金の使い方をしている人がたくさんいて、家は、その当時で一番高品質の木を使用して建てていたり、舌の肥えた人も多いなって思う。田舎ってさ、ずっとあるけれど美味しくない店とかあるじゃないですか(笑)でも、三浦のご飯やはどこも本当に絶品。だから田舎だけど、豊かな暮らしができるなって感じるんですよね。

鈴木

なるほどなるほど。

加形さん

遠洋漁業で栄えた町っていうのは三浦の魅力に影響していると思います。他の地域から流れてきた人も多いから、あまり詮索しないけどよそ者を受け入れてくれるオープンさがあるし、人情があって、それでいて文化もある。そういうところ、あんまりないなあって。

”「縁」と「タイミング」に乗って移住を決意”


鈴木

トライアルステイで三浦を知り、世界旅行を経て三浦への想いを固くした加形さんですが、移住を実際に決めたエピソードが知りたいです!

加形さん

世界旅行から帰ってきてから、他の地域ではなく三浦だけで一生懸命探すようになったんですけど、全然物件がなくって。Facebookグループの「三浦移住計画」っていうのにも入っていたんですけど。そこで一生懸命投稿をしてくれていた菊地さん(MISAKI STAYLEのリーダー!)に、思い切ってDMを送ってみたんです。そしたら、その翌日には原チャリで来てくれて、当時三浦で開業したばかりのいわの不動産の方を紹介してくれ、またその数時間後に物件を見に行き…あれよあれよと事が進みました。加形家も、その年は自分たちがピンっと来た方に行ってみようっていうノリの良い時期でして(笑)、こういう風に縁に乗っかっていくと良いことがあるなと思えたので、移住を決めたんです。

鈴木

縁とタイミングが重なり、あっという間に移住が決まったんですね。ネットで探しているだけでは、なかなか見つからなかったのに、一通のDMからこんなにスピード感をもって決まるなんて縁だなあ。

加形さん

本当だよねー。当初の予定よりも広い家を買ったので、世界各地で民泊に泊まった経験を活かして、ゲストハウスとしても稼働させていきたいと思ってます。いまはコロナでなかなか難しいけど…落ち着いたら積極的に周知していけたらと思ってます!

”自分の好きなこと、やりたいことをしていたら、範囲が町にひろがっていた”


鈴木

三浦と東京での二拠点をされている加形さんは、ビーチ相撲を開催したり、カレー屋さんのサポートをしたり、現在様々な活動をされてますよね。そのモチベーションってどこから湧いているんでしょうか!

加形さん

自分の好きなこと、やりたいことをやった結果、ローカルなプロジェクトに携わってるって感じかなあ。

鈴木

ジブンゴトの範囲が町に広がってるんですね。

加形さん

三浦ってさ、飲み屋でたまたま会う知り合いとかがみんな違う商売をやってて。そこでの会話から、思っても見なかったコラボレーションが生まれて、何かやってみようって話になるの。それに、そのプロセスそのものがすごい楽しいんだよね。例えば、ビーチ相撲を三浦海岸で開催したときには、せっかく三浦でやるんだから、大漁旗つくりたいねってなって知り合いが作ってくれたり、相撲終わりのご飯タイムの時には地元のアーティストがやってきて歌ってくれたりして。地元のネットワークをお借りして、色んな事が実現しやすいのが面白いよね。

鈴木

自分の好きなことをやるってプライベートの範囲で終わることが多いけど、それが町中に派生しているのが、この町で生きているって感覚に繋がりそうですね。楽しそうだー!参加したい―!

加形さん

今度、ビーチ相撲あったらきなよ!

鈴木

絶対行きます!(笑)

”気付いたら手伝っていた、行きつけのカレー屋さん”


鈴木

最近ではカレー屋さんのリボーンプロジェクトにも携わっているとか…!!!

加形さん

三浦海岸の南インド料理「うみのかみさま サイサガール(SAI SAGAR)」のお手伝いをしていて。商品開発や、内装外装のリフォーム、メニュー表作成や、ウェブプロモーションなんかをしてます。

鈴木

これはどんなつながりで…

加形さん

家族でよく通ってたんです。すごい美味しくて!そしたらインド人のオーナーシェフとだんだん話すようになって、外国から来て日本での経営って難しいこともあるし、コロナでね、時期的にも大変だろうし。色々聞いてたらさ、なんか応援したくなっちゃって。だから、仲間と一緒に手伝ってるんです。ほら、このメニューなんかも一緒に応援してる方が毎週イラストを描いてくれたりして。動機はシンプルに、こんなに美味しいカレー屋さんが潰れてほしくないってことです。

鈴木

なるほどなーー。家と仕事以外のことに目を向けるなんてことそうそうないし、手伝いますよって店とお客さん同士で繋がっていく関係性というか、それも特有な感じがします。はあ、すごく三浦で生きているひとのくらしって面白いんだなあ…


インタビュー途中から、実際にカレー屋へと足を運んだのですが、取材そっちのけで美味しい美味しいカレーを堪能してしましました…(笑)サイサガール、日替わりで魚を使ったカレーなんかも出ていたりして、すっごく絶品でした。
みなさん、三浦海岸へお越しの際は是非立ち寄ってみてくださいね!

加形さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!

三浦での暮らしを、そして人生を思い切り楽しむ加形さんはとても魅力的で、加形さんの人生を一から聞くと何日かかるんだ…と思ってしまうような人生経験を持つ方でいらっしゃいました。

お話を聞く中で「移住」ってただ拠点を変えるってことではなくて、自分の人生をより良く、目指す方向へと舵を切りたいという決断と、自らその地を選ぶというもう1つの決断による、意識的な環境の変化なのかなあって感じました。自分がどこで、だれと、どんなふうに暮らしたいか。それを考えるのは、遅いも早いもなく、自分のタイミングで。ですね!

これから新生活を始める皆さんも、移住を考える方も、皆さんに幸せが訪れることを心から願っています。

今回も読んでくださりありがとうございました!次回もお楽しみにーー!!

2017年移住 二拠点生活

加形 拓也

千葉県出身。現在、東京と三浦の二拠点居住をしている。都内コンサルティング会社勤務、特定非営利活動法人NPOコミュニケーション支援機構の代表理事、日本ビーチ相撲協会理事など活躍は多岐にわたる。

この記事を書いた人

鈴木 珠水

北海道苫小牧出身。あだ名はたまちゃん。横浜の大学に通い、都市に関する社会学を専攻中。地元が港町だからなのか、なぜか港町に引き寄せられ、三浦にもちょこちょこ出没。オリジナルを感じる街、ライフスタイルに触れることが好き。好きなケーキはキャロットケーキ。

2022-07-09|